東京都市怪談ラプソディ No.32 『午前4時の花嫁 - Wands King Bride』
TOKYO URBAN LEGEND RHAPSODY · CASE No.32 WANDS KING BRIDE 東京都市怪談ラプソディ · 도쿄 도시괴담 랩소디 · TOKYO URBAN LEGEND RHAPSODY 日本語 한국어 English サービスとして、Wands King Brideにまつわる都市伝説をひとつお届けします。 この物語は実在する人物の氏名および実在する店舗・企業とは関係のない、再解釈された都市怪談です。登場人物の名前はすべてイニシャルで表記します。 ある雨の明け方 東京の、とあるマンション。 時刻は午前4時ごろだった。 アイドルか映画俳優のようにきちんと着飾った男が、遅い帰宅を終えて自宅へ戻ってきた。 彼の名は S 。 ゆっくりジャケットを脱いでソファへ放り、身体を預けようとした瞬間、携帯電話が鳴った。 Sは画面に表示された名前を見るなり顔をしかめた。 「A?」 そして苛立った様子で電話に出た。 「あ、誰だよ。こんな時間に……ん? A?」 舌打ちした。 「なんだよ、お前。こんな時間に電話するなって言っただろ。」 電話をかけてきたのは女の A だった。 Aは長いあいだ歌舞伎町で心理的に支配され、家族とも絶縁し、自分の金のかなりの部分をホストにつぎ込んできた女だった。 Sは挨拶すらしなかった。 「何だよ? おい、金返せって言ったよな。いつ返すんだ?」 「……違うの……Sくん……。」 Aが言葉を続けるより先に、Sの表情が変わった。 電話の向こうから奇妙な音が聞こえていた。 男の声。 だが会話ではない。 楽器の音もない。 誰かがAの家の中で、 伴奏なしでR&Bを歌っていた。 Sは身体を起こした。 「何だ?」 歌声は続いていた。 「お前……誰といる?」 Aは答えなかった。 Sの声が荒くなった。 「おい!! 誰といるんだって聞いてんだよ!」 そして怒鳴った。 「俺以外とは会うなって言っただろ!!」 しばらくして、Aの震える声が聞こえた。 「あの……来てくれる?」 「は?」 「怖いの……Sくん……。」 Aは泣きそうな声で言った。 「この人のほうが先に、うちに来たの……。」 Sは何も言わず、ソファへ投げたジャケットを再びつかんだ。 腕を通すと、そのまま玄関へ向...